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安全保障貿易(輸出管理)の実務を、あんぼう船長とみなとくんの掛け合いで、一文ずつほどいて解説します。全103本。
はじめに
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業界の理解と基礎知識。実務者にも、これから携わる方にも。

納期に追われて、上長の確認を飛ばした~担当者ひとりで輸出できる体制の危うさ~
担当者ひとりの判断で輸出できてしまう体制そのものが、違反の原因になります。 担当者に悪意がなくても、です。 「急ぎの案件だから、今回だけは自分の判断で出してしまおう」。そんな場面に心当たりはありませんか? 経済産業省が公…

技術を渡す前の確認リスト(1枚)~図面・メール・来日した技術者への説明まで~
技術を渡す前に確かめることは、「何を」「誰に・どこで」「どうやって」の3つです。 この記事では、それを10項目・1枚のリストにまとめました。 図面をメールで送る。来日した取引先の技術者に、工場で使い方を説明する。海外の拠…

海外の子会社が見られるクラウドは「技術の提供」です~アクセスできる状態が問われた事例~
規制に該当する技術を置いたクラウドに、海外の子会社が自由にアクセスできる。その状態は「技術の提供」にあたると考えられます。 ファイルを送っていなくても、です。 「自分の会社のクラウドに保存しているだけだから、輸出とは関係…

ソフトウェアを渡すのも「技術の提供」です~プログラムが規制の対象になる理由~
ソフトウェア(プログラム)を海外に渡すことも、輸出管理の対象です。 形のない「データ」でも、規制に該当する技術なら許可が要ることがあります。 「ソフトは物じゃないから、輸出管理とは関係ない」と思っていませんか? 経済産業…

展示会に持ち出す前の確認リスト~手荷物でも、持ち帰る予定でも「輸出」です~
海外の展示会に持っていく製品・サンプル・パソコンは、手荷物でも、持ち帰る予定でも「輸出」です。 現地での技術の説明も、「技術の提供」にあたることがあります。 展示会の準備は、ブースの設営、配る資料、出張の手配と、やること…

サンプル品の提供は輸出です~無償でも手続きが要る理由~
サンプル品を海外の取引先に渡すことは、輸出です。お金をもらっていなくても、同じです。 「タダで渡すサンプルだから、手続きは要らない」と感じたことはありませんか? 経済産業省が公表している違反事例に、まさにこの受け止め方か…

取引審査の記録票のつくり方~相手・用途・判定・承認を1枚に残す~
取引審査の記録票は、「OKが出た」という結論ではなく、「何を確かめて、誰が決めたか」という道筋を残すための1枚です。 取引審査のあと、記録には何が残っているでしょうか。「問題なし」の一言と承認印だけ、ということはありませ…

引き合いが来たときの確認シート(1枚)~商談を進める前に、ここだけは聞いておく~
引き合いが来たら、商談を進める前に「品物・相手・使いみち・取引の条件」の4つを1枚で確かめます。 見積りを出してから「実は使いみちが分からない」と気づく。そんな経験はありませんか? 輸出管理の確認は、出荷の直前にまとめて…

用途と需要者の確認を飛ばすとどうなるか~「非該当だから終わり」ではない理由~
該非判定で「非該当」と出ても、それで輸出の確認が終わるわけではありません。 用途と需要者の確認 が、まだ残っています。 経済産業省は、非該当だったために用途と需要者を確認せずに輸出した事例を、 違反事例として公表 してい…

該非判定の記録に何を残すか~改正の日に「見直す品目」がすぐ分かる、1品目1枚の見本~
該非判定の記録は、「判定した証拠」のためだけに残すものではありません。いちばん働くのは、法令が改正された日です。 規制のリストは、原則として毎年改正されます。そのたびに、全部の品目を一から判定し直すのは大変です。 記録に…

過去に「非該当」と判定した製品が、改正で該当品になっていた~判定結果にも期限があります~
一度「非該当」と判定した製品でも、法令が改正されれば「該当」に変わることがあります。 判定結果は、判定したときの法令でしか通用しません。 「この製品は、前に判定して非該当だった。だから今回も大丈夫」。そう考えていませんか…

「前と同じ性能だから非該当」は通りません~廃番・代替品のときの該非判定~
廃番になった製品の代わりに型番違いの後継品を出すときは、あらためて該非判定が必要です。 「前と同じくらいの性能だから」は、判定を省く理由になりません。 「後継品だし、中身はほぼ同じはず」と考えて、そのまま出荷したことはあ…

取引先から該非判定書を求められたときの返し方~返す前の6つの確認と、返信メールの文例~
該非判定書を求められたら、「どの型番を・いつの法令で・どう判定したか」が分かる形で、判断の材料として返します。 あわせて、「用途や相手の確認は、輸出されるお客さまで」と一言添えます。 取引先から「該非判定書をください」と…

メーカーの該非判定書を、そのまま使っていませんか~「もらった判定書」で違反になった事例~
メーカーからもらった該非判定書に誤りがあっても、責任を問われるのは輸出した会社です。 だから、もらった判定書も自社で確かめる必要があります。 「メーカーが非該当と書いているのだから、大丈夫なはず」。そう考えて出荷したこと…

違反の原因は、会社の形で変わります~3年分を「CP届出・資本金・従業員数」で分けて見る~
輸出管理の違反の原因は、 会社の形によって、つまずく場所が違います。 経済産業省の違反事案の分析結果を3年分並べると、次の傾向が3年続けて出ていました。 CPを届け出ていない会社・資本金の小さい会社 は、「管理体制」でつ…

米国の「50%ルール」、海外の現地法人にどう伝えますか~条文ではなく「止める3つの行動」で伝える~
海外の現地法人には、条文を訳して配るより、「止める3つの行動」を渡すほうが確実に伝わります。 米国の輸出管理規則(EAR)の「関連会社ルール」は、社内の専門の担当者でも読むのに骨が折れる規定です。 対応するシステムを入れ…

外国から出資を受けるときの審査が変わります~対内直接投資の改正と、輸出管理の担当者が見ておくこと~
2027年1月4日から、外国からの投資を審査する仕組みが変わります。輸出管理の担当者がいちばん見ておきたいのは、「外為法で管理されている技術を持つ会社」への投資が、業種に関係なく事前届出の対象になる点です。 つまり、 ふ…

米国EARは上級で正面から出る~STC Expertを狙うなら、いつ何を始めるか~
安全保障貿易管理の資格として知られているのが、CISTECの 実務能力認定試験(STC) です。 段階はこうなっています。 STC Associate (初級) STC Advanced (中級) STC Expert …

独学の入口はどこにある?無料で読める一次情報の歩き方
「輸出管理を勉強したい。でも教材が高い」 そう感じて、始める前に止まっていませんか。 この分野は、無料で読める一次情報が非常に豊富です。 理由は単純で、 制度の当事者が行政だから です。国は、事業者に守ってもらわないと困…

職務経歴書に輸出管理をどう書くか~「やったこと」を制度用語に翻訳する~
輸出管理の経験を職務経歴書に書こうとして、こう困りませんか。 「毎日やっていたけど、なんて書けばいいんだろう」 書くことがないのではありません。言葉を持っていないだけ です。 【自分の感覚】 「メーカーに問い合わせて、書…

社内研修を任されたら~伝わる説明の組み立て方~
輸出管理の担当になると、必ず回ってくる仕事があります。 「営業部に、輸出管理の説明をしておいて」 そして、多くの人がこう作ります。 1. 安全保障貿易管理とは 2. 法令の体系 3. リスト規制 4. 補完的輸出規制 5…

一人目の輸出管理担当になったら~最初の90日で作るもの~
ある日、こう言われる人がいます。 「輸出管理、やっておいて」 引き継ぎ資料はありません。前任者もいません。 社内で輸出管理を分かっている人が、他にいません。 この状況は、珍しくありません。 そして、この状況で最もやっては…

ヒヤリハット事例から学ぶ、新人が最初につまずく5つの場面
未経験からこの仕事に入るとき、いちばん怖いのは 「知らないことを、知らないまま通してしまうこと」 だと思います。 その不安には、良い教材があります。 経済産業省が公開している 「大学・研究機関 ヒヤリハット事例集」 です…

大学・研究機関という選択肢~実務資料から見る仕事の中身~
輸出管理というと、 メーカーの輸出管理部 を思い浮かべる方が多いと思います。 もう1つ、大きな職場があります。 大学・研究機関の輸出管理担当 そして、この職場は 企業とはかなり性格が違います 。向き不向きがはっきり分かれ…

制度は毎年変わる~改正タイムラインから見る、この仕事の将来性~
「制度が頻繁に変わるなら、覚えても無駄になるのでは」 そう感じたことはありませんか。 逆です。 毎年変わるからこそ、追い続ける人が必要になります。 一度覚えれば終わる仕事は、いずれ自動化されます。 変わり続ける制度を、変…

輸出管理担当者の「法令地図」を先に持つ~面接で説明できる状態へ~
「法律の仕事だから、条文を覚えないといけないのでは」 そう身構えていませんか。 その必要はありません。 実務でも、条文は 覚えるものではなく、引くもの です。大事なのは どの問いに、どの文書が答えるかを知っていること こ…

法務・技術・営業~どの部署で輸出管理に関われるか~
「輸出管理の仕事に就きたい」と考えたとき、多くの方が 「輸出管理部」の求人 を探します。 それだけでは、機会をかなり狭めています。 経済産業省が示している輸出管理の体制図には、 部門が5つ 並んでいます。 最高責任者 │…

2026年10月16日、ロシア向け輸出禁止に化学品・鉄鋼製品など102品目が追加されます
2026年10月6日に閣議決定された政令で、何が新しく禁止になるのか 「102品目」「化学物質9物質」「工作機械プログラム」が、それぞれ何を指すのか 自社の取扱品目を見直すとき、どこを確認すればいいか みなとくん 船長、…

2026年10月2日、ロシア制裁の対象が「船」と「経由国」に広がりました
2026年10月2日に、外務省・財務省・経済産業省が何を発表したのか 「資産凍結」「輸出禁止」「船舶規制」の3つが、それぞれ何を対象にしているか 自社の取引を見直すとき、どこを確認すればいいか みなとくん 船長、またロシ…

2025年10月改正、確認シートをどう作り替えるか~参考様式の構造から~
2025年10月9日、補完的輸出規制が大きく見直されました。 すでに施行済み です。 社内の確認シートを更新していない場合、 確認すべき項目が抜けたまま運用している 可能性があります。 見分け方は簡単です。 確認シートに…

その3品目、もう規制対象です~2026年2月14日に追加されたものを見落としていませんか~
2025年11月14日に公布された改正のうち、 本体部分は2026年2月14日に施行 されました。 つまり、 すでに5か月以上前 の話です。 2025年11月14日 公布 2025年12月15日 ★事前受付開始 2026…

外為法とEAR、二重チェックの実務~どちらから見るか~
ここまで、日本の外為法とアメリカのEARを別々に見てきました。 実務では、この2つを 同じ案件について同時に 判断することになります。そのとき問題になるのが 順番 です。 外為法から始め、EARを合流させる 結論から言え…

Entity Listに載ったら何が起きるのか~「知っている」の定義から考える~
ここまで、EARの判断を 品目(ECCN) と 仕向地(カントリーグループ) の軸で見てきました。 Part 744 は、第3の軸です。 Part 744は第3の軸 正式には「Control Policy: End Us…

de minimisは10%と25%の2種類~どちらが効くかで結論が変わる~
de minimis(デミニミス)ルール 、外国製品に含まれる米国原産品の割合が一定未満なら、その外国製品はEARの対象外になる、という考え方です。 日本語の解説では「25%」と紹介されることが多いのですが、 それだけで…

日本企業が米国法に縛られる理由~EARの「再輸出」を最短で理解する~
「うちは米国に輸出していないから、EARは関係ない」 この理解は、正確ではありません。 米国の輸出管理規則( EAR )では、 日本から第三国へ物を送る行為も規制の対象 になりえます。米国法上、これを 再輸出(reexp…

違反に気づいたら、最初に何をするか~通報7項目と案件調査票~
輸出管理の担当者にとって、いちばん怖い瞬間があります。 「これ、許可が要ったのでは」 過去の案件を見返していて気づいた。監査で指摘された。取引先から連絡が来た。 税関から問い合わせが来た。 そのとき、何をすればいいか。 …

監査で何を見るのか~事例から逆算するチェック項目~
輸出管理の監査というと、規程と実際の書類を突き合わせる作業を思い浮かべるかもしれません。 それだけでは足りません。 違反原因には 「輸出管理体制の不備・形骸化」8% という項目があります。形骸化は、 書類上は整っているの…

輸出者等遵守基準~義務と努力義務を分けて、最低ラインを引く~
輸出管理の社内体制について、2つの制度が混同されがちです。 輸出者等遵守基準は、法律上の義務です (外為法55条の10)。 CP(輸出管理内部規程)の届出は、任意です。 つまり、遵守基準は守らなければなりません。CP届出…

CP届出の実務~受理票を取る意味と、毎年7月にやること~
CP(輸出管理内部規程)の届出は、任意 です。 法令上の義務ではありません。届け出なくても、輸出はできます。 では、なぜ届け出るのか。そして、 届け出たあと、何が起きるのか。 この記事でいちばんお伝えしたいのは、ここです…

仲介貿易取引規制の実務~「双方の契約の当事者」かどうかで決まります~
三国間取引に関わったとき、まず判断すべきはこれです。 自社は、売り側と買い側の「両方の契約の当事者」になっているか。 経済産業省のQ&Aは、対象となる取引をこう定義しています。 外国相互間の貨物の移動を伴う売買、貸借又は…

積替規制の実務~申請するのは荷主ではありません~
積替規制は「輸出管理の一種」です。だから、通常の輸出と同じつもりで扱う。 それが事故のもとです。 経済産業省のQ&Aを読むと、 通常の輸出と違う点が4つ あります。 通常の輸出 積替規制 申請するのは誰か 輸出者(荷主)…

改正の「施行前」に許可申請する方法~NACCSで省令番号「0-0」を使う~
改正で新しく規制対象になる品目がある。施行日は3か月後。でも、 出荷はその直後 。 こう考えていませんか。 「施行日を過ぎてから申請するしかない。審査期間を考えると、出荷が遅れる」 そうではありません。 経済産業省は、 …

「代理店に売っただけ」は、エンティティリストでは通用しません~小さな研究機器メーカーが払った170万ドルの代償~
代理店(ディストリビューター)経由の販売 でも、最終需要者を確認する義務がなくならない理由 エンティティリスト に載った相手には、 品目のセンシティブさに関係なく 許可が必要になること 小さな会社 でも、170万ドル規模…

米国には「即日で効く禁輸命令」があります~TDOという仕組みと、リストの落とし穴~
TDO(一時的禁輸命令) とは何か。どれくらい強く、どれくらい速いか DPLとエンティティリストは別のリスト であること 「命令が失効した=もう安全」とは限らない理由 取引審査で、 いくつのリストを見るべきか この記事で…

「EAR99だから大丈夫」が通じないとき~製造装置をたどってEARの対象になる話~
EAR99 は「規制対象外」という意味ではない、ということ de minimis (含有率)と FDPR (直接製品規則)は、まったく別の入口だということ 自社が買った 製造装置 が、製品をEARの対象に引き込むしくみ …

国のグループは動きます~UAEが米国の優遇枠に入った日~
米国の カントリーグループ とは何か 国のグループが変わると、実務の何が変わるのか 「国が緩和された」=「その国なら自由」ではない 理由 自社の 国別マトリクス をどう保つか カントリーグループ は、米国のEAR(輸出管…

「どの規制に属するか」は動きます~消音器がITARからEARへ移った話~
ITAR と EAR は何が違うのか 品目が 規制のあいだを移る (管轄移管)とは、どういうことか 暫定最終規則 という、日本にはあまりない規則の出し方 1つの規則に 施行日が2つ以上ある ことへの備え 今回の改正の中身…

エンティティリストは「消える」こともあります~削除された掲載を追えていますか~
エンティティリストから 削除 されるとは、どういうことか 削除を追えていないと、実務で何が起きるか 社名だけの照合では足りない 理由 削除を決める仕組み(追加より削除のほうが難しい理由) エンティティリストは、 米国のE…

米国がドローンの輸出規制を緩めました~新しい境目は「滞空3時間」~
米国のドローン輸出規制が、いつ・どこが緩んだのか 「滞空3時間」という新しい境目の意味 緩んでも残っている規制 はどれか 日本の会社が、明日から何を確認すればよいか この記事で扱うのは、 米国のEAR(輸出管理規則) の…

防衛装備移転三原則~「武器」に触れる案件の入口~
輸出管理の実務は、ほとんどが 2の項〜16の項 の話です。 1の項(武器)だけは、扱いが違います。 【積替規制】 1の項 → 全地域・無条件で許可 【仲介貿易取引】 1の項 → 船積地域・仕向地を問わず許可 【役務通達】…

重要管理対象技術の報告制度~官民対話スキームとは何か~
輸出管理の手続きといえば、 許可申請 でした。該当したら申請し、審査を受け、許可を得る。 2025年に始まった 技術管理強化のための官民対話スキーム は、これとは違う形をしています。 事前報告 から始まり、 経済産業省と…

技術の仲介取引~「指示しただけ」でも対象になります~
日本を通らない 貨物 の取引(仲介貿易取引規制)は、契約書を見れば判断できます。 技術にも、同じ発想の規制があります。 そして、貨物より 捉えにくい 。 経済産業省の説明を引きます。 外国において、非居住者に対して技術の…

「公知の技術」はどこまでか~止めるべき線を引く~
技術提供の判断で、いちばん使われる例外がこれです。 公知の技術を提供する取引 (貿易外省令 第9条第2項第九号) 「もう公開されている技術だから、許可は要らない」。 正しい理解 です。ただし、 現場で誤用されやすい例外 …

クラウドサービスは「技術提供」にあたるのか~役務通達 別紙1-2の考え方~
設計データをクラウドに保存した。海外のサーバーに保管されるかもしれない。 これは技術の「提供」にあたるのか。 素直に条文を読むと、不安になります。役務通達では「提供」をこう定義しているからです。 提供とは、他者が利用でき…

特定類型①②③、実務でどう確認するか~誓約書で何を聞くのか~
みなし輸出の実務でいちばん誤解されているのが、ここです。 特定類型の確認は、相手の国籍を確認する作業ではありません。 見るのは 契約関係 です。外国の法人や政府と契約を結び、その 指揮命令に服する 、または 善管注意義務…

客観要件の確認手順~フロー図に沿って1件ずつ潰す~
補完的輸出規制でいちばん難しいのが 客観要件 です。 リスト規制なら、仕様書と省令を突き合わせれば答えが出ます。ところが客観要件は違います。 用途や需要者から見て、兵器開発などに使われる「 おそれ 」があると輸出者自身が…

外国ユーザーリストの実務~835件をどう社内チェックに組み込むか~
外国ユーザーリストとの照合を、こうやっていませんか。 取引先名をExcelで検索 → ヒットしない → OK これでは漏れます。 理由は3つあります。 1. 別名(Also Known As)で載っている ことがある 2…

大学・研究機関の該非判定は、企業とどこが違うか
企業の該非判定は、こう進みます。 製品がある → 仕様書・カタログにスペックが書いてある → 省令の数値と突き合わせる 大学では、この前提が崩れます。 判定する対象は、こういうものです。 自作の実験装置 研究の途中で得た…

該非判定書には何を書くべきか~参考様式から逆算する記載項目~
該非判定書に何を書いていますか。 製品名と、該当/非該当の結論。これだけになっていないでしょうか。 判定書の役割は、結論を伝えることではありません。 後から誰が見ても、同じ判断にたどり着けるようにすること これが本質です…

貨物が該当したら技術も見る~合体マトリクスで対応を1行で確認する~
該非判定というと、多くの方が 貨物 を思い浮かべます。マトリクス表を開き、仕様書と突き合わせ、項番を確定する。 ですが外為法の規制は、 貨物(48条1項)と技術(25条1項)の2本立て です。 そして実務では、貨物を売れ…

STC試験の出題分野を、公表情報だけで整理する
「STC試験って、何が出るんですか」 この質問に対して、この記事では 過去問の中身にはいっさい触れません 。代わりに、 CISTECが公表している「出題分野」の記載だけ を整理します。 それでも十分に地図は描けます。むし…

STC試験って結局なに?4つの資格の違いを、いちばん分かりやすく
STC試験には4つの名前が出てきます。でも構造はシンプルです。 Associate(初級)→ Advanced(中級)→ Expert(上級)という3段の階段があって、Legal Expertはその一番上の段を"半分だけ…

通常兵器キャッチオール新制度~対象になる12品目とは~
2025年10月9日から、一般国向けにも 通常兵器キャッチオール規制 の新制度が適用されるようになりました。 その対象として指定された 特定品目は12件 。そして、 うち6件が工作機械 です。 もし工作機械や測定機器を扱…

2025年10月9日、キャッチオール規制が「補完的輸出規制」に変わりました
2025年10月9日施行で、名称と中身が具体的に何が変わったのか 通常兵器キャッチオールの新制度・HSコード指定・顧客要件の3点 社内資料のどこを、いつまでに差し替えるべきか 変わったのは、4つです 名称 :キャッチオー…

罰則の条番号が変わっています~「69条の6」で覚えている人へ~
輸出管理を学んだ方の多くが、外為法の罰則を 「第69条の6」 として覚えているはずです。テキストにも解説書にも、そう書かれてきました。 いまは違います。 2026年6月5日施行版では、主要な罰則は 第69条の7 と 第6…

その輸出、違反したら何が起きる?罰則を「構造」から整理する
輸出管理の違反は罰則が重い。そう聞いたことはあっても、具体的に何が起きるかは漠然としていませんか。 数字を並べる前に、まず 形 を押さえてください。罰則は 二本立て です。 罰則は、二本立てです 刑事罰 は懲役・罰金で、…

外国ユーザーリストに載っているのはどんな組織か~835件を国別に見る~
前回、輸出管理には「どこへ送るか」という軸があるとお伝えしました。ただ、 国だけを見ていては足りません 。 同じ国の中にも、慎重に扱うべき相手と、そうでない相手がいます。そこで経済産業省が公表しているのが 外国ユーザーリ…

3年分のデータで見る、輸出管理違反の傾向は変わったのか
これまでの2本で、2024年度のデータを見てきました。ただ、1年だけの数字では その年たまたまそうだった のかもしれません。 そこで3年分を並べてみます。すると、 はっきり動いている項目 と、 まったく動かない項目 に分…

未経験から輸出管理を学ぶ順番~METIのレベル別教材から逆算する~
「輸出管理の仕事に興味がある。でも何から手をつければいいか分からない」 そう感じていませんか。 答えは、すでに用意されています。 経済産業省が、 レベル別に分けた説明会資料 を公開しているからです。しかも 全部無料 で、…

無料で専門家に相談できます~中小企業等アウトリーチ事業とは~
「輸出管理をやらないといけないのは分かった。でも、社内に詳しい人がいない」 中小企業では、これがふつうです。 そして、経済産業省もそれを分かっています。だから、こういう事業をしています。 経済産業省は、安全保障貿易管理制…

輸出管理は「法律・政令・省令・通達」の4階建て。迷わない読み方
輸出管理の条文を読むと、こんな文章に何度もぶつかります。 「…… 政令で定める 特定の種類の貨物」 「…… 経済産業省令で定める 仕様のもの」 読み進めるほど、どこを見ればいいか分からなくなる。これは読み手が悪いのではあ…

迷ったら聞けます~経済産業省の相談窓口、5つの使い分け~
輸出管理をしていると、必ず判断に迷う場面が来ます。 この製品、該当するか微妙だ この特例、使えるのか分からない この相手、大丈夫だろうか 過去の案件で、まずいものがあったかもしれない そのとき、選択肢は3つあるように見え…

違反の59%は税関で見つかっている~でもCP届出企業は6割が自社で気づく~
自社の輸出管理に問題があったとき、どうやってそれに気づくと思いますか。 2024年度のデータでは、 違反発覚の59%が税関の事後調査 によるものでした。 自社で気づいたのは30% にとどまります。 ところが、 CPを届け…

輸出管理の仕事は何をするのか~「三本の矢」を1日の業務に翻訳する~
「輸出管理の仕事」と聞いて、何をしているところが浮かびますか。 書類にハンコを押している? 法律を調べている? 税関とやりとりしている? どれも一部ですが、中心ではありません。 この仕事の中心は 引合いが来たときに、3つ…

日本を通らない取引も規制されます~仲介貿易取引規制の入口~
前回の積替規制では、 日本を通過するだけの荷物 も対象になる、というお話をしました。 今回は、さらに驚く制度です。 A国の会社が、B国の会社へ貨物を売る。貨物はA国からB国へ直接動くので、 日本には来ません 。でも、その…

船から降ろすだけでも許可が要る?~積替規制のはなし~
これまでの記事で、輸出管理は 「日本から出すもの」 を見る制度だとお伝えしてきました。 では、こういう荷物はどうなるでしょうか。 日本のものでなくても、対象になります 外国の会社が、別の外国へ送る荷物。たまたま日本の港で…

違反企業の71%はCP未届出~「うちは小さいから大丈夫」が通じない理由~
輸出管理の違反と聞くと、大きな会社の話だと感じませんか。 データは逆を示しています。2024年度に処分が決定した事案のうち、 違反企業の71%はCP(輸出管理内部規程)を届け出ていない企業 でした。そして 資本金3億円以…

グループA・27か国とは何か~「どこへ送るか」で変わる輸出管理~
輸出管理は「何を送るか」で決まる。半分は正解です。 もう半分は、 「どこへ送るか」 で決まります。同じ製品でも、送り先によって必要な手続きが変わるのです。 その分かれ目の一つが、 グループA と呼ばれる27か国です。 み…

世界には4つの「約束ごと」があります~国際輸出管理レジームをやさしく~
「なぜこの製品が規制されているのか」 そう思ったことはありませんか。 答えは、日本国内にはありません。 国際的な会合で、参加国が合意して決めています。 その枠組みを 国際輸出管理レジーム といいます。 4つ あります。 …

輸出管理違反の52%は「該非判定」で起きている~データで見る、つまずく場所~
経済産業省が公表している 外為法違反事案の分析結果(2024年度) によると、違反原因の 52%が該非判定(がいひはんてい)に関わるもの でした。 しかも、そのうち最も多いのは「判定を誤った」ではありません。 「そもそも…

経済産業省は「OKかNG」を教えてくれません~該非判定は誰がやるのか~
輸出しようとしている製品が規制対象かどうか。これを経済産業省に問い合わせれば教えてもらえる。そう思っていませんか。 教えてもらえません。 経済産業省は公式Q&Aで、はっきりこう回答しています。 該非判定は経済産業省では行…

国内で完結する取引なのに対象に?「みなし輸出」のからくり
「海外に何も送っていないから、輸出管理は関係ない」 そう思っている方に、まずお伝えしたいことがあります。 技術の提供は、国境を越えなくても規制されることがあります。 社内の会議室で、日本にいる人に説明しただけ。それでも対…

「リスト規制」と「補完的輸出規制」は何が違う?二段構えのしくみを図解
「うちの製品は規制リストに載っていないから関係ない」 輸出管理でいちばん危ない思い込みが、これです。 規制には 二段構え があります。リストで捕まえる一段目と、 リストで拾えなかったものを拾う二段目 です。二段目のことを…

「技術」は3つに分かれます~設計・製造・使用の違いが分かると迷わない~
輸出管理では、 技術 が貨物と並ぶ規制の柱です。 そして、その技術は 3つに分類 されます。 ① 設計 ② 製造 ③ 使用 この3つは、 規制の条文でそのまま使われる言葉 です。「なんとなく設計っぽい」ではなく、 それぞ…

どこからが「輸出」になるのか~手荷物・メール・クラウドまで~
「輸出」と聞いて、何を思い浮かべますか。 コンテナ、船、通関手続き、たぶん、そのあたりだと思います。 その理解だと、半分抜け落ちます。 経済産業省の説明は、とてもシンプルです。 貨物が日本の国境を超える場合は、すべて輸出…

輸出管理でよく出る用語27語~公式の用語集を、やさしく言い換えました~
輸出管理の資料を開いて、こう思いませんでしたか。 「一文読むたびに、知らない言葉で止まる」 該非判定。客観要件。需要者要件。役務。特定類型。 難しいのではなく、単に知らないだけ です。そして、覚えるべき言葉は思ったより少…

「うちは輸出していないから関係ない」~そう思っている方へ、5つの落とし穴~
安全保障貿易管理の話をすると、よくこう言われます。 「うちは国内向けだけだから、関係ないよ」 その判断が正しいこともあります。 ただ、 「輸出」を「海外にモノを売ること」だけだと思っている ことも多いのです。実際の「輸出…

「デュアルユース」とは何か~ふつうの製品が規制される、その理由~
この業界に入ると、すぐに出てくる言葉があります。 デュアルユース(軍民両用) 「うちは兵器なんて作っていません」。そう思った方にこそ、読んでいただきたい記事です。 なぜなら、 規制されているものの大半は、兵器ではないから…

「安全保障貿易管理」とは何か~3分で分かる、この制度がある理由~
はじめて「安全保障貿易管理」という言葉を見たとき、こう思いませんでしたか。 「貿易の話? 安全保障の話? どっち?」 両方です。 そして、いちばん短く言うとこうなります。 軍事に使われるおそれのあるものが、危ない相手に渡…

輸出管理の「三本の矢」~該非判定・取引審査・出荷管理を1枚で理解する~
輸出管理という仕事は、 ①該非判定(がいひはんてい) ②取引審査 ③出荷管理 という3つの手続きを、全部やって初めて会社を守れます。1本だけ得意でも、残り2本が抜けていたら意味がありません。 あなたはこの3つの言葉を、そ…
有料記事(実務者向け)
作業のときに開くリファレンス(用語辞典・一覧・対応表・手順書)。無料部分をお読みいただけます。

許可例外27種の全体像~使う前に§740.2を読む理由~
EARで許可が必要と判定された。でも 許可例外(License Exception) が使えれば、ライセンス申請は不要になります。 CCLのエントリーには「License Exceptions」という欄があり、そこに略号…

カントリーグループ202か国~日本はA:1〜A:5とB~
EARの仕向地の分類が カントリーグループ です。Part 740 Supplement No.1 に一覧が置かれています。 ここでまず押さえてほしいことがあります。 1つの国は、1つのグループに属するのではありません。…

ECCNの5桁は何を意味するのか~原文から読み解く分類の構造~
3A001 EARの世界で目にするこの番号を、単なる識別子だと思っていませんか。 違います。5つの文字それぞれに意味があります。 構造が分かると、番号を見ただけで「どんな分野の、どういう形態の、何の理由で規制されている品…

少額特例・無償特例、「使えると思ったら使えなかった」を防ぐ
該非判定でリスト規制に該当した。でも金額が小さいから 少額特例 が使えるはず、。 この判断が誤っていた場合、行き着く先は 無許可輸出 です。 特例は「使える条件」より、 「使えない条件」から覚える ほうが安全です。なぜな…

包括許可6種類、自社はどれを取るべきか~選ぶための判断軸~
同じ相手に、同じような貨物を繰り返し輸出している。そのたびに個別許可を申請するのは負担が大きい。そんなときに使うのが 包括許可 です。 ただし、最初に押さえておきたい注意があります。 包括許可証を持っていれば自由に輸出で…

電子申請(NACCS)の実務~ID取得に7営業日かかります~
輸出許可の申請は、 NACCS で電子的に行えます。紙より速い。窓口に行かなくていい。 いいことばかりに見えます。 ただし、始めるまでに時間がかかります。 経済産業省のQ&Aに、こういう質問が載っています。 NACCSセ…

外国ユーザーリストの改定をどう追うか~版管理の実務~
外国ユーザーリストの照合は、取引審査の中心です。そして、 照合しているつもりで、事故が起きます。 【事故の形】 □ 去年ダウンロードしたExcelで照合していた □ 社内システムに取り込んだまま、更新していなかった □ …

HSコードで規制が決まる?特定品目リストの引き方
2025年10月の改正で、輸出管理に HSコード が本格的に登場しました。 これまでHSコードは、通関のための番号でした。輸出申告に使うもので、該非判定とは別世界のもの。そう捉えていた方も多いはずです。 それが変わりまし…

化学品の該非判定~CAS番号で引く手順と、名前で照合してはいけない理由~
化学品の該非判定で、こんなことが起きていないでしょうか。 同じ物質が、こんなに違う名前で呼ばれます。 表記 貨物等省令での名称 フッ化水素 和名別名 弗化水素、フッ化水素酸 化学式 HF CAS番号 7664 39 3 …

読み替え用語84語~検索で取りこぼさないための一覧の使い方~
マトリクス表で自社製品を検索して、1件もヒットしない。「よし、非該当だ」。そう判断していませんか。 ヒットしなかった理由が「規制対象でないから」とは限りません。 法令が使っている名前と、現場で使っている名前が違うだけかも…

マトリクス表「含む・除く」の読み方~条件文を型で分類する~
マトリクス表で該当候補が見つかった。ここから「本当に該当するか」を詰める工程で、多くの方が時間を取られます。 読むのは「含む」「除く」の条件文です。長く、入れ子で、括弧書きが多い。読むたびに時間がかかり、それでも確信が持…

その工作機械、6項だけで判定を止めていませんか~複数項該当の見落としを防ぐ実務~
該非判定で該当する項番を1つ見つけたとき、あなたは「よし、該当確定」とそこで手を止めていませんか。 じつはその一手が、無許可輸出につながることがあります。 同じ1台の貨物が、2つの項番に同時に引っかかる。工作機械はその代…
