概要

該非判定書を求められたら、「どの型番を・いつの法令で・どう判定したか」が分かる形で、判断の材料として返します。 あわせて、「用途や相手の確認は、輸出されるお客さまで」と一言添えます。

取引先から「該非判定書をください」とメールが来て、急いで前に作った1枚を送った。そんな経験はありませんか?

判定書は、出すのは簡単です。けれども、型番が違っていた、古い法令のままだった、ということが起きやすい書類でもあります。

この記事では、判定書を求められた側(メーカー・商社)が、返す前に確かめる6つのことと、そのまま使える返信メールの文例をお渡しします。

みなとくん船長、お客さまから『判定書を今日中に』と言われました! 前のをそのまま送っていいですか?
あんぼう船長あわてんでいい。送る前に、6つだけ確かめるんじゃ。5分で済むが、ここを飛ばすと後で困るんでな
## この記事で学べること
  • 該非判定書は、だれの判断のための書類なのか
  • 返す前に確かめる6つのこと(チェックリスト)
  • 返信メールの文例と、よくある場面での返し方

判定書は「判断の材料」です

判定書を渡せば、相手の確認はいらない?
判定書を渡せば、相手の確認はいらない?

該非判定=「その貨物や技術が、規制のリストに載っているかを確かめる作業」です。

経済産業省のガイダンスは、該非判定は輸出する会社の責任で行うものだとしています。そのうえで、メーカーなどから入手した該非判定書を再確認して判定することもできるとしています。

つまり、判定書を受け取った会社は、それを材料にして自社で確かめて判定します。メーカーが製造した品物を商社が輸出する場合も、責任を問われるのは輸出する商社です。

「非該当証明書」と呼ばれることもありますが、国が証明する書類ではありません。発行した会社の判定の結果を伝える書類です。

では、渡す側は何に気をつければよいのでしょうか。

経済産業省の違反事例には、メーカーの判定書に「非該当」とあったため自社で確かめずに輸出し、後でメーカーの誤りと分かった例があります。受け取る側が確かめるのは当然として、渡す側も「相手が確かめやすい形」で返すことが、双方を守ることになります。

返す前の6つの確認

判定書を返す前の6つの確認
判定書を返す前の6つの確認

下のリストは、そのまま社内の手順にしていただけます。

【該非判定書を返す前の確認】

□ 1 型番・仕様:求められた型番と、判定した型番が同じか
        特注・仕様変更・付属品の違いはないか
□ 2 法令の版 :いつの法令で判定したかが書いてあるか
        その後に改正はないか(あれば判定し直す)
□ 3 貨物と技術:貨物だけでなく、技術(プログラム・資料)
        も渡すなら、その判定もあるか
□ 4 開示の範囲:判定結果・項番・理由・法令の版まで
        判定に要らない社外秘の資料は付けない
□ 5 社内の承認:判定の責任者が決裁した判定書か
□ 6 記録   :だれに・いつ・どの版の判定書を出したか残す

※ 安貿ナビの独自の整理です。法令上の様式ではありません。

ここからは、とくに大事な点を見ていきます。

1・2 型番と法令の版

ガイダンスは、受け取った判定書について名称・型式が一致しているか、最新の法令で確認しているかを確かめるよう示しています。受け取る側が見るところは、渡す側がまず確かめておくところです。

規制のリストは、原則として毎年改正されます。判定日と法令の版が書いてあれば、受け取った側も「いつの時点の判断か」が分かります。

4 何をどこまで出すか

相手が確かめるのに要るのは、判定の結果・検討した項番・判定の理由・法令の版です。

項番=「規制リストの中で、その品目が載っている場所の番号」です。

設計図面や原価など、判定に要らない社外秘の資料まで付ける必要はありません。相手が海外の会社なら、添付する資料が技術の提供にあたらないかも、あわせて確かめます。

5 社内の承認

ガイダンスは、判定書を作ったら判定の責任者の決裁を得るとしています。責任者は、対象に誤りがないか、最新の法令で判定しているかを確かめます。社外に出す判定書も、この決裁を経たものを出します。

非該当でも、相手に残る確認があります

非該当なら、もう何も確かめなくてよい?
非該当なら、もう何も確かめなくてよい?

判定書が伝えるのは、リスト規制に当たるかどうかだけです。

補完的輸出規制=「リストに載っていない品物でも、使いみちや相手によっては許可が要る仕組み」です。

使いみちや、最終的に使う会社を知っているのは、輸出するお客さまの側です。メーカーの判定書では、ここは確かめられません。

だからこそ、「非該当」と返すときは一言添えます。相手を疑う言葉ではなく、役割の分担を伝える言葉です。

返信メールの文例

返信メールは、4つのかたまりで組み立てる
返信メールは、4つのかたまりで組み立てる

社名・部署名・言い回しは、自社に合わせて変えてください。

件名:【該非判定書】型番 〇〇-〇〇〇 のご送付

〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様

いつもお世話になっております。
ご依頼の該非判定書をお送りします。

■ 対象  :品名 〇〇 型番 〇〇-〇〇〇
■ 判定日 :〇〇年〇月〇日
■ 法令の版:〇〇年〇月〇日施行の法令にもとづく判定です
■ 範囲  :貨物・技術(取扱説明書)の判定を含みます

お手数ですが、次の点をご確認ください。
・お手元の型番・仕様と、判定書の記載が同じであること
・本書は弊社の判定結果をお伝えするものです。
 輸出のご判断は、貴社でご確認のうえお願いいたします
・リスト規制に当たらない品物でも、用途や需要者によっては
 許可が必要になる場合があります(補完的輸出規制)。
 用途・需要者のご確認は、貴社でお願いいたします

法令の改正などで判定が変わった場合は、あらためてご連絡します。

〇〇株式会社 〇〇部 〇〇

「改正のときに連絡する」のは、法令上の義務ではありません。ただ、6の記録が残っていれば、だれに知らせればよいかがすぐに分かります。

よくある場面での返し方

  • 型番が分からないまま頼まれた:判定書を出す前に、型番と仕様を確かめます。「型番が分かれば、該当する判定書をお送りできます」と返します
  • 「今日中に」と急がれた:判定済みで、版も新しければ、承認済みのものを出します。判定し直しが要るときは、いつまでに出せるかを先に伝えます
  • 自社で作っていない仕入品だった(商社の場合):仕入先の判定書をもとに、自社でも確かめます。出すときは、仕入先の判定書であることが相手に分かるようにします

あなたの会社では、判定書を「だれに・いつ・どの版で」出したか、すぐに答えられるでしょうか?

まとめ

  • 該非判定書は、輸出するお客さまが判定するための判断の材料。国の証明書ではない
  • 返す前に6つを確かめる:型番・仕様/法令の版/貨物と技術/開示の範囲/社内の承認/記録
  • 「非該当」と返すときは、用途・需要者の確認は輸出する側でと一言添える
  • 返信メールは対象・判定日・法令の版・範囲をはっきり書く
  • 出した記録を残しておけば、改正のときに知らせる先がすぐ分かる
みなとくん船長、判定書を送るだけのつもりでしたが、送り方で相手の確認も楽になるんですね!
あんぼう船長そうじゃ。判定書は、相手の判断を支える材料じゃ。確かめやすい形で渡せば、お互いを守ることになるんじゃよ
- あわせて読む:[該非判定書には何を書くべきか~参考様式から逆算する記載項目~](/articles/how-to-write-classification-report) — 判定書1枚の中身を「7つの層」で整理しています - あわせて読む:[経済産業省は「OKかNG」を教えてくれません~該非判定は誰がやるのか~](/articles/who-does-classification) — 判定の責任がだれにあるかを整理しています - あわせて読む:[「リスト規制」と「補完的輸出規制」は何が違う?二段構えのしくみを図解](/articles/list-control-and-catch-all) — 非該当でも残る確認のしくみが分かります

※ 該非判定の責任・判定書の再確認・判定の注意点・社内の決裁は、経済産業省「安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]」(第3.0版・令和8年3月)によります。該非判定の責任者を定めることは、外国為替及び外国貿易法第55条の10にもとづく輸出者等遵守基準によります。違反事例は、経済産業省「外為法違反事案の分析結果」2024年度版によります。判定書の項目は、経済産業省が公表している該非判定書の参考様式もあわせてご確認ください。確認リストと返信メールの文例は、これらをもとに安貿ナビが実務向けに整理した独自のもので、法令上の様式ではありません。個別の品目が規制に当たるかは、法令・通達の原文をご確認のうえ、必要に応じて経済産業省にご相談ください。

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