この記事で学べること

  • 2026年10月2日に、外務省・財務省・経済産業省が何を発表したのか
  • 「資産凍結」「輸出禁止」「船舶規制」の3つが、それぞれ何を対象にしているか
  • 自社の取引を見直すとき、どこを確認すればいいか
みなとくん船長、またロシア制裁に動きがあったんですか?
あんぼう船長うむ。今回は団体の追加だけでなく、船そのものが規制の対象になっておる。順に見ていこうぞ
## 変わったのはここ
変わったのは、4つです
変わったのは、4つです
  • 資産凍結の対象:ロシア連邦の33団体・9個人を追加

  • 輸出禁止の対象国:ロシア・ベラルーシ以外の国の特定団体(4団体)にも拡大

  • 船舶そのもの:特定の船35隻に役務取引・資本取引の規制

  • 新しい輸出禁止:ロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出等を禁止

  • いつから:2026年10月2日から適用

  • 経過措置:同日より前に結んだ契約に基づく履行は、2026年11月1日より前であれば対象外

  • 誰に影響するか:ロシア関連の取引先がある事業者、第三国経由の輸出をしている事業者、海運関連の役務・資本取引に関わる事業者

そもそも何の制裁か

外務省・財務省・経済産業省の3省が、ウクライナ情勢を受けて外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく措置を続けて発表しています。今回は令和8年10月2日の閣議了解に基づくものです。

制裁の中身は、大きく3種類に分けられます。

  • 資産凍結等の措置=「指定された相手とは、お金のやりとりを許可制にする」
  • 輸出等に係る禁止措置=「指定された相手には、モノや技術を出せなくする」
  • 役務取引・資本取引の規制措置=「指定された相手が関わる取引(サービス提供・貸付・保証など)を許可制にする」

今回の発表は、この3種類それぞれに新しい対象を追加したものです。

変更点①:資産凍結の対象が増えた

外務省告示(10月2日発出)に、ロシア連邦の関係者として33団体・9個人が新たに掲載されました。

対象になると、次の2つが許可制になります。

  • 支払規制:対象者への支払等
  • 資本取引規制:対象者との預金契約・信託契約・金銭の貸付契約等

取引先がこのリストに入っていないかの確認が必要です。

変更点②:輸出禁止の対象が「経由国」にも広がった

ここが実務上、見落としやすいポイントです。

ロシア・ベラルーシ向けではない輸出でも、禁止の対象になることがあります。

今回、ロシア連邦及びベラルーシ共和国以外の国の特定団体(4団体)が、輸出等禁止の対象に追加されました。制裁の実務情報を扱う団体の資料では、トルコの1団体・アラブ首長国連邦の3団体という内訳が示されています。

これは、ロシアへの横流し(迂回)を防ぐための網です。仕向地がロシアでなくても、相手がこの団体なら輸出できません。

「ロシアに直接送っていないから関係ない」とは言えません。 取引先が、この種のリストに載っていないかを確認する必要があります。

変更点③:船そのものが規制対象になった

船そのものが、規制の対象になりました
船そのものが、規制の対象になりました

今回、特定の船舶35隻が、外務省告示に掲載されました。対象になった船には、次の2つが適用されます。

  • 役務取引規制:財務省告示で定めるサービス(保険・検査・修理など)の提供が許可制に
  • 資本取引規制:その船の売買等に伴う金銭の貸付契約・債務の保証契約が許可制に

これは、船籍や船主を変えながら制裁を逃れている船(いわゆる「シャドーフリート」)への対応とみられます。

自社が直接ロシアと取引していなくても、海運・保険・船舶金融に関わる事業者は、取引する船がこの35隻に該当しないかを確認する必要があります。

変更点④:ロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出禁止(新設)

今回、ロシア連邦の産業基盤強化に資する物品等の輸出等の禁止措置が新たに導入されました。

これまでも同種の禁止措置は段階的に広がってきましたが、今回また対象が追加されたことになります。対象品目の詳細は、今後の告示・通達で明らかになります。

経過措置に注意

今回の措置は2026年10月2日から適用されますが、次の場合は対象外です。

同日より前に締結された契約に基づく債務の履行、または労務・便益の提供であって、2026年11月1日より前に行われるもの。

つまり、既存契約の履行は1か月弱の猶予があるということです。ただし、11月1日以降に行う履行は対象になる点に注意してください。

実務で確認すべきこと

  • 取引先・最終顧客が、今回追加された団体・個人(33団体・9個人、第三国の4団体)に該当しないか
  • 海運・保険・船舶金融に関わる取引で、35隻のいずれかに該当する船がないか
  • 既存契約の履行スケジュールが、2026年11月1日をまたぐかどうか
  • ロシア向け輸出を扱っている場合、産業基盤強化物品の対象品目が明らかになったら、自社製品と照合する

対象者・対象船舶の詳細な名簿は、財務省の発表ページに添付資料として掲載されています。該非判定と同じく、名簿との照合は自己責任で行う必要があります。

まとめ

  • 2026年10月2日適用。外務省・財務省・経済産業省の3省連名発表
  • 資産凍結:33団体・9個人を追加
  • 輸出禁止:ロシア・ベラルーシ以外の国の特定団体(トルコ1・UAE3)にも拡大
  • 船舶規制:特定船舶35隻に役務取引・資本取引の許可制を導入
  • 新設:ロシアの産業基盤強化に資する物品等の輸出禁止
  • 経過措置:既存契約は2026年11月1日より前の履行であれば対象外

「自分はロシアに直接輸出していない」と思っていても、取引の相手や経由国、使っている船まで確認が必要になるのが、今回の改正の特徴です。

みなとくん船長、見るところが一気に増えましたね……
あんぼう船長じゃが、焦ることはない。相手・経由国・船の3つに分けて確認すれば、漏れは防げる。順番に当たっていこうぞ
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※ 外務省・財務省・経済産業省「ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について」(令和8年10月2日公表)によります。対象者・対象船舶の詳細は財務省の発表ページ添付資料をご確認ください。制度は今後も改正されることがあります。

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