概要

廃番になった製品の代わりに型番違いの後継品を出すときは、あらためて該非判定が必要です。 「前と同じくらいの性能だから」は、判定を省く理由になりません。

「後継品だし、中身はほぼ同じはず」と考えて、そのまま出荷したことはありませんか?

経済産業省が公表している違反事例に、まさにこの思い込みから起きたものがあります。

非該当だった製品が廃番になった。そこで型番違いの代替品を輸出することになった。前の製品と同じくらいの性能だから当然非該当だろうと思い込み、該非判定をしなかった。そういう事例です。

みなとくん船長、後継品って、前のとほとんど同じですよね?
あんぼう船長『ほとんど』が曲者なんじゃ。その『ほとんど』の中に、規制の線がひそんでおることがあるでな
## この記事で学べること
  • 代替品・後継品でも、あらためて判定が必要な理由
  • 「判定済みの結果を使い回してよい場面」と「いけない場面」の違い
  • 型番が変わったときに、気づける仕組みの作り方

経済産業省が公表した事例

経済産業省の「外為法違反事案の分析結果」には、会社名を伏せた違反事例が載っています。

2023年度版と2024年度版の両方に、次の事例があります(要旨)。

従来扱っていた非該当の製品が廃番になり、型番違いの代替品を輸出することになった。非該当の製品と同じくらいの性能なので、当然非該当だと思い込み、該非判定を行わなかった。

分類は「判定未実施・非規制思い込み」です。

該非判定=「輸出する物が、規制のリストに載っているかを確かめる作業」です。

この型は、違反の原因としていちばん多いものの一つです。「判定未実施・非規制思い込み」が違反原因に占める割合は、2022年度32%、2023年度21%、2024年度32%でした。2024年度は、違反原因の分類の中で最も大きな割合です。

「同じくらい」と「同じ」は違います

前と同じ性能なら、判定はいらない?
前と同じ性能なら、判定はいらない?

経済産業省は、この事例にこう解説を添えています。

互換性や代替性がある品物でも、機能や性能が変わったり、改良されたりして、仕様が異なっている場合がある。だから、あらためて該非判定を行うことが推奨される。

後継品は、前の製品と「同じ」に作られるとは限りません。前より良くしようとして作られることが、よくあります。

規制のリストは、性能の数値で線が引かれていることが多くあります。精度・出力・速度などが、ある値を超えると該当になる、という決め方です。

たとえるなら、身長制限のあるアトラクションです。去年は背が足りなかった子も、今年は伸びて線を越えているかもしれません。「去年と同じくらい」では、線のどちら側かは分かりません。 測り直すしかないのです。

後継品で性能が少し上がった結果、前は線の下だったのに、今回は線を越えている。そういうことが起こりえます。

判定の使い回し、してよい場面

判定結果を使い回してよいのは、2つの条件がそろうとき
判定結果を使い回してよいのは、2つの条件がそろうとき

では、一度判定した結果は、毎回やり直さなければいけないのでしょうか。

経済産業省の分析結果は「該非判定は輸出の都度行う必要がある」と書いています。一方で、経済産業省のガイダンスは、一度判定したものは、法令の改正がない限り、原則として判定し直す必要はないとしています。

一見ちがうことを言っているようですが、2つを合わせるとこうなります。

判定結果を使い回してよいのは、
  ① 判定したものと、まったく同じ品であること
  ② 判定したときから、法令が変わっていないこと
この2つがそろうときだけ

→ だから、輸出のたびに
  「①②がそろっているか」を確かめる

今回の事例は、①が崩れていました。型番が違えば、別の品です。前の判定結果は、そのままでは使えません。

型番が変わったことに気づく仕組み

型番が変わったら、判定に戻る流れをつくる
型番が変わったら、判定に戻る流れをつくる

この型が見落としやすいのは、担当者が「判定しなかった」ことに気づきにくいためです。本人は「判定済みの製品の続き」だと思っています。

そこで、個人の注意ではなく、仕組みで気づけるようにします。

  • 判定結果を型番ごとの一覧表で管理する(ガイダンスも、判定結果と根拠を一覧表にまとめることを勧めています)
  • 出荷のときに、出す物の型番が一覧表にあるかを確かめる
  • 一覧表にない型番が来たら、出荷を止めて判定に戻す
  • 仕入れ先から廃番・後継品の案内が来たら、輸出管理の担当にも回す

輸出者等遵守基準も、規制に該当する貨物を扱う会社に、出荷のときに該非を確認した貨物と一致しているかを確かめることを求めています。型番の照合は、まさにこの確認です。

輸出者等遵守基準=「輸出をする会社が守るべき、社内体制の決まりごと」です。

あなたの会社で、仕入れ先から届く「廃番のお知らせ」は、誰の机に届いているでしょうか?

まとめ

  • 廃番の代替品・後継品も、あらためて該非判定が必要
  • 後継品は「同じ」とは限らない。改良されていることがある。性能の数値が規制の線を越えることがある
  • 「判定未実施・非規制思い込み」は、2024年度の違反原因で32%と最も大きい
  • 判定結果を使い回せるのは、同じ品で、法令が変わっていないときだけ
  • 型番が違えば別の品。一覧表にない型番は、出荷を止めて判定に戻す
  • 廃番・後継品の案内を、輸出管理の担当にも回す流れをつくる

さて、あなたの会社の判定済み一覧に、最近切り替わった後継品は載っているでしょうか?

みなとくん船長、型番が1文字ちがうだけでも、別の品として見るんですね
あんぼう船長そうじゃ。1文字の違いの向こうに、性能の違いが隠れておることがある。線のどちら側か、測り直すのが一番の近道じゃよ
- あわせて読む:[輸出管理違反の52%は「該非判定」で起きている~データで見る、つまずく場所~](/articles/violations-52-percent-classification) — 「調べなかった」が最大の原因でした - あわせて読む:[該非判定書には何を書くべきか~参考様式から逆算する記載項目~](/articles/how-to-write-classification-report) — 型番と判定の根拠をどう残すか

※ 事例は、経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)」の2023年度版(2024年12月公表)・2024年度版(2025年12月公表)に掲載された違反事例の要旨です。割合は2022年度版〜2024年度版によります。会社名は元の公表から伏せられており、この記事も特定の会社を示すものではありません。判定結果の扱いと出荷時の確認は、経済産業省「安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]」(第3.0版・令和8年3月)によります。個別の製品が規制に該当するかは、法令・通達の原文をご確認のうえ、必要に応じて経済産業省にご相談ください。

改正を見落とさないために(無料)

安全保障貿易の制度は、たびたび改正されます。安貿ナビでは、経済産業省・CISTEC・米国EARの新着を確認し、実務への影響をメールでお届けしています。

無料で登録する

社内の輸出管理教育をご検討の企業のご担当者さまには、あわせて資料をお送りしています。