概要

2027年1月4日から、外国からの投資を審査する仕組みが変わります。輸出管理の担当者がいちばん見ておきたいのは、「外為法で管理されている技術を持つ会社」への投資が、業種に関係なく事前届出の対象になる点です。

つまり、ふだんの該非判定の結果が、外国から出資を受けるときの審査にも関わってくる、ということです。

財務省は2026年9月16日、改正された外為法(外国為替及び外国貿易法)に合わせた政令・省令・告示を公布しました。多くの規定は、2027年2月3日以後に行われる投資から適用されます。

「投資の話は、経理や経営企画の仕事でしょう?」と感じたことはありませんか?

みなとくん船長、出資の話って、輸出管理とは別の部署の仕事ですよね?
あんぼう船長部署は別でも、法律は同じ外為法なんじゃ。しかも今度の改正で、きみたちの該非判定がそのまま効いてくる。いっしょに整理していこうぞ
## この記事で学べること
  • 同じ外為法の中にある「輸出管理」と「対内直接投資の審査」の違い
  • 今回の改正で、何が・いつから変わるのか
  • 外国から出資・役員の受け入れ・技術提携の話が来たとき、輸出管理の担当者が確かめること

同じ外為法の「出ていく管理」と「入ってくる審査」

外為法には「出ていく」と「入ってくる」の2つの管理がある
外為法には「出ていく」と「入ってくる」の2つの管理がある

外為法には、安全保障のための管理が大きく2つあります。

1つめは、ふだんみなさんが担当している輸出管理です。

輸出管理=「規制された貨物や技術が、国の外へ出ていくのを管理すること」です。許可を申請するのは、輸出や技術の提供をする会社です。窓口は経済産業省です。

2つめが、今回の主役の対内直接投資の審査です。

対内直接投資=「外国の投資家が、日本の会社の株を取得したり、経営に関わったりすること」です。

こちらは、外国のお金や経営への影響力が、日本の会社に入ってくる場面を見ています。事前届出をするのは、原則として外国投資家の側です。審査するのは、財務大臣と、その事業を所管する大臣です。

向きは逆ですが、どちらも「大事な技術や事業が、安全保障上の心配がある相手の手に渡らないようにする」ための仕組みです。

たとえるなら、輸出管理は「港から出ていく荷物の検査」、対内直接投資の審査は「船の持ち主が変わるときの確認」です。荷物を出さなくても、船ごと持ち主が変われば、積み荷を自由にされるおそれがありますね。

今回の改正で変わること

いつから変わる?
いつから変わる?

まず、日付を整理します。

  • 2026年6月5日:改正法の公布。省庁をまたいだ審査体制の強化(財務大臣などが関係する省庁に意見を聞くことの義務付け)は、この日から始まっています
  • 2026年9月16日:政令・省令・告示の公布
  • 2027年1月4日:改正法の施行
  • 2027年2月3日:この日以後に行う投資から、新しいルールの多くが適用

次に、中身です。財務省の概要資料をもとに、主な変更を5つにまとめます。

今回の改正で変わる主な5つ
今回の改正で変わる主な5つ
  1. リスク軽減措置の明確化:投資家が「こうして心配をなくします」と約束する内容(リスク軽減措置)を、届出に書く事項として明確にしました。あとで変えるときも届出が要ります
  2. 間接的な投資も対象に:日本の会社の株を持つ外国の会社を、別の外国投資家が買収する。こうした「間接的な取得」も事前届出の対象に加わります
  3. 外国政府などの支配下での投資も対象に:日本の会社や日本に住む人でも、外国政府などの支配・影響のもとで投資をするなら、外国投資家とみなして事前届出を求めます
  4. 届出が要らない業種への投資にも対応:これまで事後報告だけだった業種への投資でも、特にリスクが高い投資家によるものは、投資のあと5年間、報告を求めたり、勧告・命令をしたりできるようになります
  5. 対象の見直し:届出の対象を、リスクに合わせて整理します。広げるところと、緩めるところの両方があります

5つめの「広げるところ」に、輸出管理の担当者にとっていちばん大事な変更が入っています。

担当者がいちばん押さえたい点:「技術」で対象が決まる

業種だけでなく「持っている技術」で対象が決まる
業種だけでなく「持っている技術」で対象が決まる

これまで、事前届出が要るかどうかは、主に投資先の会社の業種で決まっていました。武器、航空機、原子力、半導体製造装置などの業種です。

今回の改正で、業種ではなく「持っている技術」に着目した指定が加わりました。

告示で定められた技術は、次の2つです。

  • 外為令別表の1〜15項の技術:輸出管理で「リスト規制」の対象になっている、設計・製造・使用の技術です
  • 16項の技術のうち、重要管理対象技術:経済産業省の官民対話スキームで、提供する前に報告を求めている技術です

どちらも、公知の技術は除かれます。公知の技術=「誰でも手に入れられる状態で公開されている技術」です。

財務省の概要資料は、これを「コア業種」と同じ扱いの事前届出の対象として示しています。コア業種=「届出の対象の中でも、とくに慎重に審査される業種」です。

ここで、あなたの会社のことを思い浮かべてください。輸出管理の担当者は、自社の技術がリスト規制に該当するかをすでに判定しています。

その判定結果が、これからは「外国から出資を受けるときに届出が要るか」の手がかりにもなります。

ここは実務でとても大事なところです。該非判定の記録は、輸出のためだけの書類ではなくなります。会社の大事な情報になるのです。

どんな状態を「技術を保有している」とみるかなど、細かい線引きは、財務省の案内を確認する必要があります。自社だけで決めつけないようにしましょう。

出資・役員・技術提携の話が来たら、何を確かめるか

外国から出資の話が来たら、輸出管理の担当者が確かめること
外国から出資の話が来たら、輸出管理の担当者が確かめること

届出をするのは、原則として外国投資家の側です。それでも、投資を受ける会社も無関係ではありません。

財務省は、届出書に添える書類として、投資先の会社の事業内容や役員などの情報を求める方針を示しています。投資を受ける側が、情報をそろえて渡す場面は多くなります。

外国から出資・役員の受け入れ・技術提携の話が来たとき、輸出管理の担当者が確かめておきたいことは、次の4つです。

① 自社(子会社を含む)が、リスト規制の技術や重要管理対象技術を持っているか
      ↓
② 相手は誰か。その後ろに、外国政府などの支配・影響がないか
      ↓
③ 何をするのか(株の取得/役員の就任/事業の譲渡 など)
      ↓
④ 相手に技術を見せる・渡すなら、輸出管理の許可が別に要らないか

とくに④は見落としやすいところです。

投資の審査を通ったことと、技術を提供してよいことは、別の話です。 外国の出資者やその関係者に、規制された技術を見せたり渡したりするなら、ふだんの輸出管理(役務取引の許可など)の確認が必要です。

日本の中で渡す場合も同じです。相手が外国に住む人であれば、国内での提供でも許可の確認が要ります。

日本に住む人でも、外国の強い影響下にある人への提供は「みなし輸出」として確認が要ります。みなし輸出=「日本国内での技術の提供でも、輸出と同じように管理すること」です。役員として迎える人が、外国の会社と契約を結んで指示を受ける立場にないかも、見ておきたい点です。

一つ一つの取引で届出が要るか、許可が要るかは、自社だけで判断しきれないことがあります。最終的な確認先は、対内直接投資なら財務省と事業を所管する省庁、輸出管理なら経済産業省です。迷ったら、早めに相談しましょう。

まとめ

  • 外為法には、出ていく貨物・技術の管理(輸出管理)と、入ってくる投資の審査(対内直接投資)の2つがある
  • 改正法は2027年1月4日に施行。多くの規定は2027年2月3日以後の投資から適用される
  • 間接的な投資、外国政府などの支配下での投資、届出の要らない業種への高リスクな投資にも、審査の手が届くようになる
  • リスト規制の技術や重要管理対象技術を持つ会社は、業種に関係なく事前届出の対象になる
  • 投資の審査と、技術を提供するときの輸出管理は、別々に確認する

さて、あなたの会社の該非判定の記録は、経営企画や法務の部署とも共有できる形になっているでしょうか?

みなとくん船長、該非判定の結果が、出資の話にもつながるなんて知りませんでした。経営企画の人にも伝えておきます!
あんぼう船長それがいちばんの備えじゃ。あわてんでいい。まずは、自社がどの技術を持っておるか、一覧で見られるようにしておこうぞ
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※ この記事は、財務省の報道発表「『外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令』等について」(令和8年9月16日)と、同省の関係資料(「対内直接投資審査制度の見直しについて(概要資料)」、改正政令・命令の新旧対照表、告示)をもとにまとめたものです(2026年9月27日確認)。https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/press_release/20260908204517.html 個別の投資が届出の対象になるか、個別の技術の提供に許可が要るかは、法令・告示の原文をご確認のうえ、対内直接投資は財務省・事業所管省庁に、輸出管理は経済産業省にご相談ください。

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