概要

メーカーからもらった該非判定書に誤りがあっても、責任を問われるのは輸出した会社です。 だから、もらった判定書も自社で確かめる必要があります。

「メーカーが非該当と書いているのだから、大丈夫なはず」。そう考えて出荷したことはありませんか?

経済産業省が公表している違反事例に、まさにこの流れで起きたものがあります。

メーカーからもらった該非判定書には「非該当」と書かれていた。そこで、自社ではあらためて判定せずに輸出した。ところが後日、メーカーの誤りで、実は規制に該当する品だったと分かった。そういう事例です。

みなとくん船長、メーカーが間違えたのに、輸出した側の責任なんですか?
あんぼう船長そこが大事なところなんじゃ。判定書は『参考にするもの』で、『責任を移すもの』ではないんじゃよ
## この記事で学べること
  • メーカーの判定書に誤りがあっても、輸出者が責任を負う理由
  • もらった判定書で、どこを確かめればよいか
  • 判定書をもらうときに、あわせて頼んでおきたいこと

経済産業省が公表した事例

経済産業省の「外為法違反事案の分析結果」には、会社名を伏せた違反事例が載っています。

2023年度版と2024年度版の両方に、次の事例があります(要旨)。

メーカーから入手した該非判定書には、輸出しようとしている貨物は「非該当」と書かれていた。そのため、自社であらためて該非判定をせず、非該当品として輸出した。しかし後日、メーカーの誤りで、実は該当品だったことが分かった。

分類は「他社誤判定鵜呑み」です。

該非判定書=「その品が規制のリストに該当するかどうかと、その理由を書いた書類」です。

統計の分類「他者誤判定鵜呑み」が違反原因に占める割合は、2022年度16%、2023年度18%、2024年度5%でした。2024年度は下がりましたが、前の2年は違反原因のおよそ6件に1件でした。

責任を負うのは、輸出した会社

メーカーが非該当と書いたなら、責任はメーカー?
メーカーが非該当と書いたなら、責任はメーカー?

経済産業省は、この事例にこう解説を添えています。該非判定は、輸出者の責任で行わなければならない。 だから、他社から手に入れた判定書も、自社でもう一度確かめるよう努める必要がある。

ガイダンスも同じ考え方です。メーカーの判定書に誤りがあって、該当品を非該当として輸出した場合、外為法違反の責任を問われるのは、貨物を輸出した会社だとしています。

これは、メーカーが作った品を商社が輸出する場合も同じです。ガイダンスは、この場合に法律上の責任を問われるのは商社だと書いています。

たとえるなら、車の運転です。カーナビが「この道は通れます」と案内しても、実際に通行止めの道に入れば、運転していた人の責任になります。カーナビは頼りになる道具ですが、ハンドルを握っているのは自分です。

判定書を使ってはいけない、ではない

メーカーの判定書を使うこと自体は、問題ではありません。

ガイダンスも、メーカーなどから手に入れた判定書を再確認して、該非判定を行うことも可能だとしています。製品をいちばんよく知っているのはメーカーです。その判定書は、とても大切な材料です。

問題は、確かめずにそのまま使うことです。

判定書をもらう
    ↓
★ここで自社の確認を入れる
    ↓
自社の判定として決める

もらった判定書で確かめる3点

もらった判定書は、3つの点で確かめる
もらった判定書は、3つの点で確かめる

では、何を確かめればよいのでしょうか。ガイダンスは、購入品の判定について、次の点を挙げています。

① 名前と型式が、輸出する品と合っているか

判定書に書かれた品名・型番が、実際に出す品と一致しているかを見ます。似た型番の別の品の判定書だった、ということもありえます。

② 判定の結果と理由が、はっきりしていて妥当か

「非該当」という結論だけでなく、どの項目を、どう見て非該当としたのかが書かれているかを見ます。理由が書かれていない判定書は、確かめようがありません。

③ 最新の法令で判定しているか

判定した日と、使った法令の版を見ます。規制のリストは、原則として毎年改正されます。古い日付の判定書は、いまの法令で見直す必要があります。

あなたの会社にある、もらった判定書。いちばん古いものは、いつの日付でしょうか?

判定書をもらうときに頼むこと

判定書は、根拠と日付まで添えてもらう
判定書は、根拠と日付まで添えてもらう

確かめやすくするために、判定書をもらう段階で工夫もできます。

  • 判定書には、判定した日と、使った法令の版を書いてもらう
  • 結論だけでなく、検討した項目と、その理由も書いてもらう
  • 判定に使った仕様書やカタログも、あわせてもらっておく
  • 法令が改正されたら、判定し直した判定書をもらえるか、あらかじめ相談しておく

これは、メーカーを疑うためではありません。同じ根拠を見て、自社でも同じ結論にたどり着けるようにするためです。

まとめ

  • メーカーの判定書に誤りがあっても、責任を問われるのは輸出した会社
  • メーカーの品を商社が輸出する場合、責任を問われるのは商社
  • 判定書を使うこと自体は問題ない。問題は確かめずにそのまま使うこと
  • 確かめる3点:①名前と型式の一致 ②結果と理由の妥当性 ③最新の法令かどうか
  • 判定書をもらうときに、日付・法令の版・理由・仕様書も添えてもらう
  • 違反原因に占める「他者誤判定鵜呑み」は2022年度16%、2023年度18%、2024年度5%

さて、あなたの会社では、もらった判定書を「確かめた」記録が残っているでしょうか?

みなとくん船長、判定書はファイルに綴じて安心していました……
あんぼう船長綴じてあるだけでも、何もないよりずっとよい。あとは一枚ずつ、3つの点を見ていけばよいんじゃ。あわてんでいい。ひとつずつ、じゃ
- あわせて読む:[経済産業省は「OKかNG」を教えてくれません~該非判定は誰がやるのか~](/articles/who-does-classification) — 判定の責任が自社にある理由 - あわせて読む:[該非判定書には何を書くべきか~参考様式から逆算する記載項目~](/articles/how-to-write-classification-report) — 判定書に書くべき「過程」

※ 事例は、経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)」の2023年度版(2024年12月公表)・2024年度版(2025年12月公表)に掲載された違反事例の要旨です。割合は2022年度版〜2024年度版によります。会社名は元の公表から伏せられており、この記事も特定の会社を示すものではありません。責任の所在と、購入品の判定書で確かめる点は、経済産業省「安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]」(第3.0版・令和8年3月)によります。「判定書をもらうときに頼むこと」は、この記事としての提案です。

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